【読書】花のさくら通り(荻原浩)
2018/03/28
面白かった。
今回は、さびれた一地方の商店街が舞台なのだが、
社会問題でもある地方創生についてあらためて考え直すいいきっかけにもなった。
最も大切なのは、そこに暮らす人々の努力であり、
各々が知恵を絞り、額に汗し、時にぶつかり合い、時に励ましあい、支えあい、
その結果として、将来に渡り、継続性のある仕事ができてくるものだと思う。
その中で本作品のように、住民同士の強い(強かったかな?うーん)繋がり、絆が芽生えたりすると理想的。
税金で予算がつくられ、消化することばかり考える。(ほとんど無意味な広告、宣伝)
どこそこの自称成功モデルをそのまま真似てみる。(ゆるきゃら多すぎ。もうゆるくない)
つくったはよいが、当初想定した売上や客数に全然とどかない。(夢物語は布団の中だけで)
現状を改善するためにさらに費用が発生する。(結局都会の会社が吸い尽くす)
結局資金がつき、つくったものは墓標と化す。(金の切れ目がなんとやら)
挙句の果てに維持費はそこの住民が負担しつづけ、
作り手側は、結局、何一つ自分の頭で考えておらず、失敗しても誰も責任をとらない。
そして、このような失敗例は枚挙に暇がなく存在するようだ。
苦しく、悩ましい問題ではあるが、結局は自分たちの暮らしは、自分たちで必死に良くしていくしかない。
部外者、お役所、ましては税金に頼りだすと、思考停止、とても楽なので、頼りっぱなしになり、
夢だけ見せられて、仕舞には、より苦しい生活がまっているかもしれない。
何かちょっとしたヒントが隠されているのかもとも思いながら、一気に読了しました。
また、ちょくちょく荻原作品が映像化されているようだが、
荻原作品は映像ではなく、活字でよみ、想像をふくらませるほうが断然よいと感じる。
(といっても、萩原作品がどのように映像化されているのか気になって、ついつい見てしまうのだが)
物語自体や登場人物のキャラクタなどの構成、文章のテンポ、巧みなに筆運びにいつも読書の楽しさを
改めて感じることができ、読後すがすがしい気持ちになれる。
本作は、ユニバーサル広告社シリーズの3作目だが、
読了とともに、前2作を本棚から探し出して、近々読む本たちに重ねました。
ぜひ。